ゆがんだ闇

角川ホラー文庫のアンソロジーを読み終える。

小池真理子鈴木光司篠田節子、板東眞砂子、小林泰三瀬名秀明、いまを時めく6人の作家によるもの。
小池真理子小林泰三作品はこれまで手を付けたことが無い。篠田節子作品では「女たちのジハード」のみ。鈴木光司作品については、「リング」「らせん」「ループ」「バースデイ」「シーズ・ザ・デイ」ほか(タイトルが思い出せない。本棚にあるはずの)1冊、瀬名秀明作品では「パラサイト・イブ」「ブレイン・バレー」、なかでも板東作品はかなり好きで買ったし、読んできた。
このアンソロジーも、実は「板東眞砂子」で検索し、解説も何も読まぬままに発注してしまったもの。
個人的な感想は「やはり板東作品は長編だよね。」と感じた。鈴木・篠田作品には大した感慨も抱けず、既に記憶領域から抹消されつつあるようでストーリーも思い出せない。まあ、蔵書の肥やし、このアンソロジーを手にしなければ小林泰三の名も知らぬままだったよな、程度の貧弱な読後感。読解力がぬるいのかも。
好きな板東作品の中ででも「道祖土家の猿嫁」が一番だと思っている。
土着の民衆の力強さと、したたかさ、さまざまな地元の伝統・伝承・習俗など、映画やドラマじゃ再現不可能なディティールが、まるで我が家のばあさんの昔語りのように見えるような気がするのだ。
我が町の古老たちが、いま盛んに過去の伝承を記述しようと努めているが、既にその古老たちの寿命も尽きようとしているいま、過去の営みはもはやこのような小説の上でしか伝承されないのであるよなあなどと思いつつ一気に読んだものだ。さて、次は何を読もうか。