我が家の育苗、そのよりどころはどこでしょう

父が入院して以来、母の記憶だけをたよりに数日間、水稲の手抜き育苗を行ってきた。というよりは、蒔いたモミは勝手に発芽し、次なる対応を迫られていることに、母も私も気がついた、というのが正しい。
一昨日から母が「ハウスの温度が上がりすぎぬように調節してね、あんたの職場は我が家から5分なんだからそれくらいできるでしょ」とか「責任持ってやってもらわなきゃ」などと発破をかける。
第二種兼業農家の長男として産まれてしまい、安定サラリーマンであり、よわい68にして脳梗塞(こうそく)で倒れた父を持つ身としては、少なくとも「一念発起」する(ふりをする)必要はある。
ひとまず、毎年JAから農家に配布される手引き書を母とともに熟読。するが、いまひとつ腑に落ちない。だってこの冊子、ある程度農業の基礎的知識を持ったひとに向けて農業のエキスパートが書いているため、素人に毛が生えた程度の知識しかない二人には理解できないのだ。こまかい作業の手順などは端折ってあるし、なぜその作業が必要なのか、二人でそれぞれの考えを付き合わせてああでもないこうでもないと不毛な議論を戦わせている。
ひとまず、育苗の方法についてインターネットで調べたところ、どうやら被服資材として使っているのはシルバーラブという品らしいと言うことと、この資材を使うことで育苗にかける手間暇が少なくなるということはわかった。

早期水稲のハウス内育苗において、播種後育苗箱を平置きし緑化終了までべたがけ被覆を行う省力的な育苗法を確立した。なお、べたがけ被覆は出芽苗の緑化や硬化期の保温にも活用できる。

保温や保水性に優れたラブシートの使用により、モミから芽が出たあとしばらくの間は灌水と温度調節のための作業は簡略化できる。
ただし、どうやらいつまでもラブシートを覆っておく訳にはいかない。安穏とした環境のもとで育った苗は軟弱になる恐れがある。本格的に田んぼに移したとき(田植え以降)の活着と生育に影響するのだろう。
これから緑化・硬化という段階に移る。日光に当て、少々の寒さや暑さにも耐えられるだけの丈夫な苗を作る段階だ。
灌水と、温度管理の手を抜くために、もう少しラブシートで覆っておいても良いのではないかと主張する私に対し、母は「過保護にしすぎちゃダメ」とばかりに実力行使。昼休みに帰宅したときにはラブシートはすっかり取り払われ、育苗箱の培土(育苗箱に敷き詰められた土)は乾燥、一部の苗は枯れそうなくらい。
さいわい今日はひどい黄砂に見舞われ気温もさほど上昇していなかったので、ハウスの換気をして高温対策。あわせて半分の苗箱に灌水。(実験のため)
夜のミーティングの結果、少し手間だがラブシートの覆いは取り払うことに。灌水と温度管理はできるだけマメに。高温対策のためにハウスの換気は行うが、気温が下がったからといって無理して覆いをしに帰ったりはせずにおこうじゃないかということで落着。
寒さに強い元気な苗が育ちますように。