失語症の父、日帰り旅行

両親がともに加盟している私的研究会の、恐らく最後になるであろう研修旅行が計画され、日帰りでもあることから夫婦そろって参加した。
父も母も、人生の半分以上をともに過ごしてきた仲間との旅行である。それなりに楽しみに参加した。
そしてこの研究会も所期の目的を終え(というよりは見失い)、主要メンバーが亡くなったり入院したり倒れたり、会員全員が高齢になり、他の組織と同様に新人会員を迎えることもなく、解散を目の前に控えていることもあり、一抹の寂しさを抱きながら参加した。
父は、ずいぶん前から楽しみにしていたようで、何はさておいても参加する気満々。最近では珍しく早起きし、比較的準備も手早く終えたのだったが、母がちょっとだけ服装について何か言ったことに対して激昂してしまい、早朝からえらい不機嫌なスタート。対する母も、こんな面倒な御人のお供をせねばならないかと朝から泣きそうになっていた。
なんとかにこやかにスタートして欲しいものだと口を出しては見たのだが、一度かんしゃくスイッチが入った父には何を言っても火に油。
仕方がないので母には「一緒に行くメンバーと一緒に指さして笑い飛ばしてしまいな」とアドバイスをして送り出した。
せっかく父も留守になるので朝から近くのスキー場に出かけようと思っていたのだが、胃がチクチクしてきて外出する元気もなくなってしまった。