何の因果か

さして興味もなかった生け花の展示発表会場を覗くことになった。
旧知の女性から「すぐに来て!」とのメッセージ。
休日にこの女性から電話が入ることなどまずあり得ない。
何事であるかと駆け付けたところ、そこが発表会場だったと言うわけ。
会場には、地元の女流名士(やそれほどでもない人)たちが勢揃い。
もう帰るわけにはいかない。
呼ばれた理由というのも、職業柄どこへ行くにも「常にカメラを持参している」と言う、平素の行いが最大限に評価されたため。
会場はすべて女性ばかり。まかり間違って「平均年齢は」などと色気を出さなければこんなハーレム状態を無料で素面で経験できる機会は訪れるはずもない。
会場におられる女性たちの半数近くは近所で見知った方々。カメラを取り出し撮影開始だ。
稼働の心得など持ち合わせているはずもなく、あちこちを向きながら剣山に突き刺してある、もとい、私のような下々のものには一体どういう規則性や法則性を持って行けてあるやら皆目見当が付かない花々。どこをどう評価して良いやら、どっちの方向から写せばよいやら分からぬままにひたすらシャッターを押しまくった。
会場に集う彼女たちに「一体どんなのが評価されるの」と、やんわり聞いてみたのだが、どの口からも否定的な評価が一切もれることなく、様々な美辞麗句が立て板に水のごとくあふれ出すのみ。
先生だけが唯一絶対。これが「ファシズム」の体現だ。
もちろん口には出せるはずもなく、会場にあふれる花の香りと女性陣から立ち上る臭いに圧倒されつつ会場でもまれたのであった。