父とコンバイン

金曜日の夜からいつものごとく病院から帰宅し、外泊中の父は、朝からなにやらごそごそしている。
我が家の稲作がとにかく気になるのだ。
稲刈りスケジュールについて、カレンダーを指さしたり書き込んだりしながら説明をしたのだが、果たして父は理解してくれたのかどうか。不安である。
そんな我が家の稲刈りは、17日から。
翌、土曜日には、とにかくトラクターに触りたかったらしく「鍵をよこせ」(と言っているのだと思うのだが、本当は違ったかもしれない)と怒り出した。
父に運転はさせないことにしたので、やむなく私が彼の目の前で彼の言うなり(何を言っているかは分からぬが、彼が満足そうな顔をするように振る舞い)にトラクターを右から左へと移動させた。
何のために移動をさせたのか、さっぱり理解できない。
日曜日、今度はコンバインを移動させたいらしい。これまた父には運転させられはしない。
父は「これくらい運転できるわい」(推測)という感じでなにやら言うが如何せんそこは失語症患者。なにやらさっぱり要領を得ない。
仕方がないので昨日に引き続き彼が満足そうにうなずくように私が乗り込んでコンバインを動かす。
右から左に動かしただけなのだが、昨日に引き続いて何のために移動をさせたのかさっぱり理解できない。
この調子で、稲刈りは大丈夫なのか。
正直なところ、父には稲刈りの当日はいてもらいたくない。