障子張り


全国的に台風の猛威にさらされ、気が気ではない地方の方もいたことだろう。
中国山脈の北西部、ほぼ裏日本に位置している我が家では、台風の余波はほとんどなく、ときおり降る雨も霧雨程度。
脳天気な母は、全国区の被災のニュースをテレビで聞きながら「この霧雨は障子張りにぴったり」と唐突に家中の商事をはずし、外に並べ始めた。
ここのところの雨模様で、外で草刈り期を振り回すこともできなかった不完全燃焼気味だった父に、母は身振りを交えながら作業を教え、今日はおとなしく仲良く障子張り。いつになく聞き分けがよい父に、母と二人で、「今日のこれ(古い障子紙をはがす作業。きれいにはげると気持ちがいい。ちょうど日焼け後の皮が広く向けるとうれしいのと一緒か)は気に入ったみたいだね」と皮肉に笑いあった。