読書メーター、今日も回転

原丈人著「新しい資本主義」読了。

新しい資本主義 (PHP新書)

新しい資本主義 (PHP新書)

「ほぼ日」で、糸井重里氏と対談なさっているのを読んで初めてその名を知り、その後朝日だか毎日だかとにかく新聞紙面でデフタパートナーズの事業とともに紹介されている記事があり、それ以降、著者の動向が気になっていたのだった。
腰巻きに「シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストが、日本を舞台に未来を語る」とある。その文章にウソも偽りもないが、私の頭には入ってこなかった。なぜなんだろう。理解力が足りないのか?
それでも、コア技術にたいする投資促進のための「リスクキャピタル制度」による投資減税案や、その財源として「事業仕分け」により1億3000万円を捻出するプランを示したり、公益資本主義経営のススメなど、ベンチャーキャピタリスト視点での提案は興味を引いた。
気になったのは、著者あとがきである

お金をもっているかもっていないかの尺度で測れば、どんな愚か者でもくらべてみることができるだろう。だが、ほんとうにそれが正しいのか。
私はベンチャーキャピタリストとして、富豪を500人以上は生み出してきたが、見ていると皆、その後ろくな人生を送っていない。

500人の富豪を送り出しておいて、「皆、その後ろくな人生を…」なんて書かれても、それまでの説得力が台無しのような気がしてならない。原氏が生み育てた富豪たちにこそ、この本で再三にわたって解いていることこそを、500人の富豪の皆さんに実践してもらうほうが早いのではないかという気がした。きっと富豪になった彼らは原氏の言葉など忘れてしまったのだろう。
私にとって原氏の言葉は、「みなさんは、(身の程をわきまえて)ひとまず目の前のこと(だけ)をがんばり給えよ」みたいに聞こえてしまったのだ。性根が腐っているのでそんな感じとり方しかできなかった。おかげでせっかくの言葉や数々のアイデアは、私の腑に落ちることなく通過してしまった。書き方一つなのかもしれないけれど。受け止め読み取る人の心持ち次第で、同じ言葉もいかようにでも解釈できてしまうんだ。