宛所に尋ねあたりません

我が家で収穫するお米のうち、いくらかは妹を通じてその知人らの食卓に上っている。一昨日妹が夫婦そろって帰宅したときに持ち帰るつもりだったらしいが、うっかり忘れて帰ってしまったとのこと。健忘力は我が家一族郎党の系統なので仕方ない。取りに帰ろうとしたらしいがノーマルタイヤしか持っていない妹は積雪凍結の恐れがあるこの時期である。特に昨日今日日本列島を覆っている冬型の気圧配置により我が家周辺には積雪している可能性が高い。天気の回復を待ってから改めて取りに帰ればよいのであるが、注文主のお米在庫が切れてしまうという。
しかたあるまい。妹の新居は祖母の入院先にも近い。積雪凍結の恐れさえなければ40分程度の距離である。「見舞いついでに届けてやるよ」とすっかり恩を売るつもりで出発。予定通りほぼ40分後には妹の住所地付近にまでは辿り着いたのだが、そのあとがいけない。以前に尋ねたのは昼間である。今日は仕事を切り上げてからの訪問なので時間はもう夜7時前、新興住宅地の地形がわからず、星も出ていないので方角もわからない。おそらく半径で言えば100メートルいないには何度も近寄ったはずだと思うが一向にそれらしい建物が見あたらない。恥を忍んで何度も電話しようかと思ったし、久しぶりに見ず知らずの地での迷走に不安を覚えてしまった。
そうこうするうちになんだか見覚えのある建物をようやく発見し、事なきを得た。
以前から道を覚えるのは得意じゃなかったが、今夜の出来事でますます本当に心底カーナビが欲しくなってしまった根っから田舎派の私。