フラッシュバック

20年ほど前、確かにあったバンドブーム。実のところ深夜テレビで平成名物TVイカすバンド天国を夜更かししつつ見ているだけの学生だった私。ただただ毎週勝ち抜いていくバンドマンらをブラウン管の向こう側に見ていた私。楽器を手にするでもなく、ライブに出かけるでもなく(経済的に辛かった上に地方都市在住でライブハウスが無かったのだ)、イカ天の審査員コメントを聞いては訳知りオヤジみたいに同窓の寮生たちと一丁前のバンド批評をしつつ晩酌をしていた生産性のかけらもない学生時代。今考えりゃいろんなモノにチャレンジしない言い訳をカネが無いせいにしていたな。
そんなしょっぱすぎる記憶をたどりながら読んだ「リンダリンダラバーソール

バンドマンというと特殊な人種だけれども、そんな特殊な人種の一人である大槻ケンヂさんは実に正しい年齢の重ね方をしていらっしゃる。不惑を迎えた今、くすんではいても私のセイシュンと呼ぶべき一時期を私は確かにバンドブームと並んで過ごした。
平凡も非凡も特殊も一般も、殿上人も下々の者も、誰もが平等に年を取る。確かなのは、当時20歳だった人はいま40歳に、10歳は30歳に、40歳は60歳。大槻さんも私もアノ時代のアノ空気をすってた人は間違いなく20歳年を取り、間違いなくそれぞれ20年分の経験を経たってことだ。成長しているか出来ているかは別として。この本を読み終えた今のこの感じのことを人は「後悔」と呼び、その気分を「今どきの若いヤツは」とか「勉強しときゃよかった」などの常套句に載せてはき出している。