旧い旧い友からの便り

以前働いていた先の同僚から16年ぶりに電話があった。久しぶりに声を聞いて、名乗る前から一発で「ああ、彼だ」とわかった。と同時にもう一つのこともわかってしまった。もうひとりの同僚であった彼女の訃報だった。彼と彼女にとって私はただの音信不通の元同僚に過ぎなかったはず。いまさら尋ねあててまで報告せねばならぬこと、そんな情報ははっきり言って聞きたくはなかった。超久々の連絡といえば訃報くらいだよな。冷静になって反すうしてみると、そういうことだ。彼は42歳、私は41歳、そして彼女は40歳。早すぎる。最後に彼女の姿を見、会話し、別れたのはいつのことだったか。再会を約束して果たさぬまま今生の別れだ。訃報が耳に入るくらいなら薄情だけど生き別れたままの方が良かった。彼女から借りたまま返さずじまいの本があることを思い出した。