帰ってきた父、土曜日のシゴトは

梅雨の中休み。(というよりは、梅雨入り宣言からこちら、先週末までほとんど雨らしい雨もなかったが)
父の外泊に合わせて休暇を取っていた母は、頼りないがやる気だけが空回りしてしまう父を伴って、前々からの懸案であった黒豆の播種を行った。思いのほか早く播種作業が終了してしまったため手持ちぶさたになった父、今度は、黒豆を植えたほ場の周囲を電気柵で囲うのだと言いはじめた。まだイノシシ被害を警戒する時期でもあるまいに。
朝から結構なお天気が続き、ただでさえ心臓などに負担をかけすぎるのは避けたい。ここは休憩を取って、関心をよそ事に向けさせるのが得策である。
頑固で我が儘で身勝手で(失語症を患う前から)聞き分けもない父のこと、休めと言ってもなかなか聞かないがんばりやさん。それでもなんとか説得を試み、休憩をさせる。段取りよくシゴトをする能力は格段に低下している父ではあるが、やる気だけはある。
結局、母も私も付いているわけにはいかなかったのだが、電気柵の一部を張り終えた。
脳味噌を割ってみた訳じゃないが、どうも父の場合、方々の領域に壊死した個所が見られるというのだが、記憶や行動を司る領域のほかにも、どうも暑さや寒さを感じる能力も低下しているように見受けられる。どう考えても通常一般人よりもたくさん着込んでいるのだ。よけいに休憩をさせておきたい。
結局泣きそうになりながら休憩し、父は、思うように行動できないこと、喋れないこと、できると思いこんでいることが全く思うままにならないこと、母や私や祖母に負担をかけることなどが気兼ねであるなど、自分自身をなじりはじめるのであった。
そのくせ夕食時にはまたきかん坊に変わってしまうのだからとりつく島がない。反省したり、落ち込んだりするのも一時的で一過性。さっき自分で言ったことくらい覚えておいてよね。
まあそれができるくらいだったら入院させたりしないんだけど。