父に似ている

失語の症状と、認知に障害がのこっている父は、昔から「自分のことは(誰にもいわずに)一人で自分勝手にやる」タチだ。
家族は彼が何を、何のために、いつ、どのようにやるのか、やる予定なのか、またやらないのかを全く知らない。
農作業をはじめ、いろいろ彼なりに必要だと思っていることをドンドンやろうとするのはとても歓迎すべきことだとは思う。しかし、彼が率先して取り組もうとしていることの大半は危険なことであったり、無茶なことであったり、母や祖母や私が考えるに不要だったり無駄だったりもっと効率的な代替手段があったりする。
本当に我が家が今すべきこと、たとえば稲刈りや除草剤の散布や田植えなど、時期や順番があらかじめ決まっていてそのタイミング以外でするとすべてが台無しになる類のことであっても、誰にも言わず、我が家の不幸を一身に背負ったような沈痛な表情で、さらには「おまえらは全然手伝わない」という表情で、勝手にはじめてしまう。
おそらく人にものを頼むことがもの凄く苦手だったりプライドが許さなかったりするのだろう。
「おまえさん、今後100年200年生きるつもりか?」「年寄りの仕事は若者を一人前に育てることだろ?」などと父に諭しながら、ここ数年間、面白いこと独り占めにしてきたわが仕事ぶりを振り返って反省するのが最近の常なのだ。