祖母、94歳

高齢で、体の衰えとともに気力も気分も弱気になってしまった祖母が、孫である私と、ワガママ一杯で高次脳に機能障害を持つ失語症の父と、元気に会社勤めをしている母のそれぞれに対して生前贈与めいたお小遣いをくれた。
失語症の父に対して、ひとまず封筒に入った現金を渡したのち、母と私が「物騒だから」と預かろうとしたところ、すぐに癇癪。30分ほど大騒ぎ。
これまでは、いくらかんしゃくを起こしてもものに当たったり暴力行為に及んだりすることは無かった父だったが、今日は違った。
食卓のテーブルをどんどん叩いて必死になにやら喚きながらアピールをしていたかと思うと、手元にあった何かで私の頭を殴りつけてきた。力は弱かったし、大して痛くもなかったのだが、ついに一線を超してしまったかなという感じ。
祖母もうろたえるし、母は涙声になって父を罵るし、肝心の父はと言うと、そこは失語症者、癇癪を起こしているので全く聞く耳持ってくれない。
現金を取り上げられる=プライドをいたく傷つけられた
というところか。
言い方が悪かったのかもしれないが、そもそもこちらの言っていることが十分に理解できていないようだし、お金を挟んで話をすると、すぐに「取り上げられる」と思いこんでいる節もある。
細かい会話で分かり合えると言うことはなく、雰囲気だけで勝手に父が判断して先に怒り出してしまい、さらにはこちらの話を全く聞かなくなるので始末に負えない。
悩ましい。
この一騒動で祖母94歳の体調に悪影響が出なければよいのだが。