腹が立つ

ここ1年くらいで、確実に自分の肉体が変わったのではないかと感じている。
特に、脳みそ。昔に比べて、腹が立つことが増えてきた。特にこの一年、理不尽でワガママな父に大して無性に腹が立ってたまらない。どうしようもないのに。
しかたがないので、約1年前に古本屋で購入していた失語症本を読み、心の平衡を保つことにする。

失語症のホームケア

失語症のホームケア

いろいろと読みあさった失語症本の中でも、専門用語が少なくて読みやすかった。
この本によると、父の症状は、尋常じゃないほどの無意味な言葉を連続的にだらだらと垂れ流す流暢性発話を主たる症状としているようで、失語症のタイプ的には、ウェルニッケ失語というものに当たると思われる。
これは、ウェルニッケ野(側頭葉の上部あたり?)という言語の音韻を理解する機能に損傷を来した場合の症状だそうな。
自分で無意味語を連発することはできているのだ。しかし、会話(厳密には成立しないのだが)のなかでは、どうやら我々が父に向かって発している言葉の細かい意味や区別はがついていないようだ。
毎度、おおむねのフィーリングやこちらが問いかけや呼びかけなどをしたタイミングや場所や雰囲気や表情などで、父独自の勝手な思いこみや気持ちで適当に判断して、それらしい言葉を彼なりに返してくれているに過ぎないのだ。
聞き取りができていないのでオウム返しも当然できていない。
本書の文中の記述によると

ウェルニッケ失語の患者さんは、自分の言っていることが間違っているということがよく分からないらしく(病識欠如)、変なことを言ってすましています。時には、「ちゃんと言っているのに、なぜおまえ達は分からないのか」と怒って暴言を吐き、極端な場合は暴行に及ぶこともあります。

とある。
ああ、これだ。腑に落ちる感じ。探していた病名がようやく見つかったわけだが、でどうなの?それで。
対処法は特に記されていないのであった。
「ホームケア」と書いてあるが、具体的にこの症状に対しては「こうしましょう」とまでは書いていない。そりゃかけないよな。わが父には、自分の病気や疾患の認識と理解、いわゆる「病識」というものが欠如している。この病識をいかに認識できるかによって、わが家の中は随分風通しも良くなって楽しくなるに違いない。ギスギスした雰囲気や毎夜繰り返される罵り合いも緩和されるのではないかと思う。