祖母の実家で、祖母の兄の三十三回忌

孫の私が行く必要は無いのだが、祖母は腰痛でとても出席不可能。次善の策としては、父が出席すべきところではある。高次脳に機能障害を持つ父を一人タクシーでのぞかせるという案もあったがそれは即却下。元来酒好きな父は、こうした宴席で人一倍はしゃぐのが常。とはいえ、病み上がりではあるし、しらふでもコミュニケーション不全であるのにこの上酒を飲んでは誰とも話にならない。何より久しぶりに集まった親戚一同に失礼である。
結局私が父を伴い我が家からは二人で出席することにした。午前9時、先方の菩提寺でお経をを上げ、位牌を拝んだ後に祖母の実家に移動。午前11時から宴。これまで私は祖母の実家とは縁が薄かったために誰が誰だか、人間関係もさっぱりわからぬ。尻の据わりが悪い。
それでも、数少ない知人を捕まえては当たり障りのない話をして場をつないでいた。
ふとみると、父は自分のお膳を片付け始めてしまった。そして自ら立ち上がり「それじゃこの辺で私どもは失礼します」とでも言うような台詞を吐き早々に立ち去ろうとするではないか。
進められ続けたビールをかたくなに拒否し、父には一滴たりとも飲ませまいとしたことが裏目に出て、宴開始後1時間もたたぬうちに父は音を上げてしまったのだった。脳梗塞の後遺症の一つだろうか、こらえ性が全くなくなった。
今日の場合は、知らない人の中にぽつねんといる私には苦痛な時間でしかなかったので彼の振る舞いはちょっとだけありがたかった。
「すみません、父がこんな感じなもので…」などと父をだしにして早々と辞去。