朝っぱらから来客

昨夜の雨で、我が家付近の積雪もみるみるうちに消えつつある。コンディションがよければスキー場に足を運ぼうかと思っていたのだが、今日は昼前には妹夫妻と弟が帰宅する予定でもあるし、今ひとつ気合いが入らないのでスキー場行きは断念。自治会の事務や今朝新たに届いた年賀状への返礼することにした。というわけで家居していると、母の友人から「今からごあいさつに伺いますが」とのこと。母の友人だが私自信も旧知の方である。年始のあいさつくらいはせねばならんだろう。全く知らない訳じゃないんだから。
そんなことを思いつつ、妹夫妻が来る前に髭を剃り、パジャマから着替えてスタンバイしていたら、母の知人来宅。ご丁寧に大奥様と奥様二人で。正直そのとき「なんだか大仰な」と思いはした。通り一遍のごあいさつをすませたお二人はおもむろに「今日は(私の名前)さんに、持ってきたのよ」と封筒を取り出し、私に封筒を手渡してくるじゃないか。聞いてないよ。何にも。
(恐らく私以外は誰もこの時点で気付いていないだろうけれど、数日前に誕生日を迎えてしまいこっそり年を取ったために)ついに不惑を迎えた子供はおろかヨメもいない男やもめのこの私に、なんとお見合い話を持ってきてくださったのである。なんとありがたいことであろうか。ここ10年ですっかり額の面積は倍増し、頭髪の発毛密度は薄くなってしまった私のような者を気にかけてくださってありがたいじゃないか。あまりの突然に面食らってしまい、正しいあいさつ(お礼を含めて)が出来たのか、粗相は無かったか、予定外の申し出を受け、とにかくよくわからないほど久しぶりに動揺してしまったのだ。不本意かつ恥ずかしながら当分デートに出かけるような予定はなし、ましてや特定の相手も不特定の相手もいない私にこの案内は願ったり叶ったり。のはずなんだけれども内心複雑な思いを抱きつつ知人らに形式ばかりのお礼を言いお見送り。
一般的な適齢期の人間ならば、既に自力でどうにかしてるころ。それもせずに他力に頼っているようじゃだめなんだけど、ここですんなり「ありがとうございます。じゃ、いただきます」っていっちゃうと自分自身の駄目さ加減をあっさり認めてしまうようで癪なんである。だからといって「いやご心配には及びません自力でいかようにもなるんですから」と突っぱねるだけの器量も自信もない。かといって観念してしまったわけでもないからもう始末に負えない。どうしよう。
そして釣書は未だ封筒の中。