Because it is there.

イギリスの登山家、ジョージ=マロリーは、「なぜ、あなたはエベレストを目指すのか」と問われて「そこに山があるから」と答えたという。「Because it is there.」の訳であるが、彼は山とは言ってないんだよな。
今日の本は、ちょっと辛気くさいが「疲労凍死/天幕の話」である。Memento moriなのである。特に96歳の祖母にお迎えが近づきつつあること、父が脳梗塞(こうそく)で倒れてからこちら、特にMemento moriである。

山溪叢書4 疲労凍死/天幕の話

山溪叢書4 疲労凍死/天幕の話

私自身は本格的な登山経験も知識もないが、登山の話は好きなのだ。極限状態における人の振る舞いとその記録が好きなんだと思う。
実際に「この本を読もうと思ったきっかけは?」と問われれば「そこにこの本があったから because it is there.」っていう程度の理由なのであるが。
トムラウシでの事故後に出版されているので、作者も複雑な思いでおられることだろう。
こうしたことどもも含め、何事も「私事」として取り込めるだけの器量を持っておきたいものだ。