毎度のことだが、父を入院先に送る。

失語の父とは、車中で全く会話にならない。
父の適当な相づちに腹が立つ。生返事に腹が立つ。必然的に、車中では全く会話をしなかった。
親不孝な息子だと思っていることだろう、父よ。でも、アナタの振る舞いが、今の我らの関係を作ってきたのだよ。
「以心伝心」なんて言葉があるが、ことアナタとの間にはそんなものは成立しない。少なくとも、息子は分かってくれないと思っているだろうね。
あまいね。「アナタのことだから恐らくこう考えているだろう」くらいは察しが付くんだよ。
察しは付くさ。もともととんでもないワガママな発想しかしないアナタだ。そんなアナタの気持ちをいちいちくんでいたのでは我が家は大変だ。
その証拠に、アナタが倒れる前、徐々に脳梗塞(こうそく)が進んでいってたころのアナタの言動はめちゃくちゃだった。
父よ。アナタの気持ちはよ〜く分かった。が、一切聞き入れるわけにはいかないのだよ。そういう意味では確かに以心伝心、皆まで言うな、アナタのワガママには付き合いきれないのだよ。という感じ。ちょっとは我らの気持ちを聞き分けておくれよ。後生だから。